ホームページとドメイン

ドメインとサーバーの契約は分けるべきか

ドメインまわりには登録・DNSの管理・サーバーという3つの契約があり、1社にまとめるかどうかで乗り換えの自由度が変わります。まとめる場合と分ける場合の違い、更新が失敗する型、解約の順番までを整理しました。

公開 更新 カテゴリ ホームページとドメイン 読了目安 約8分

編集 小さな会社のIT実務編集部

ドメインとサーバーの契約は分けるべきかについて、機器や業務資料を確認する小規模事業者
サイト・ドメイン・サーバーの関係を整理した編集イラスト

この記事の適用範囲

対象
独自ドメインをこれから取得する、または既存のドメインとサーバーの契約を見直したい小規模事業者
読了後の状態
ドメインの登録・DNS・サーバーの関係を理解し、契約先と名義を自社の判断で決められる状態

サーバーの申し込み画面を進めていくと、「ドメインも一緒に取得する」という選択肢が出てきます。契約している間は費用がかからないと書かれていて、別のところで取る理由も特に思いつきません。ここで進むかどうかが、数年後に選べる範囲を決めます。

問題が表に出るのは、サーバーを移そうとしたとき、メールだけ別のサービスに分けたくなったとき、そして更新の通知が誰にも届かないまま期限が過ぎたときです。どれも契約から数年たってから起きるため、取得の日には判断材料が揃っていません。

ここでは、ドメインまわりの契約が実際には3つに分かれていることを整理し、まとめる場合と分ける場合で何が変わるかを扱います。取得の手続きそのものは各事業者の画面に従えば済むため、決めることのほうに絞ります。

ドメインまわりには3つの契約があり、まとめられているだけで別物です

ひとまとめに「ドメインを取る」と言われますが、実際には性質の違う3つが関わっています。

1つ目は登録です。そのドメインを誰の名義で保有するかという契約で、更新料を払い続ける限り使えます。2つ目はDNSの管理です。そのドメイン宛の通信をどこへ向けるか(サイトはどのサーバーへ、メールはどこへ、認証用の記録はどう書くか)を設定する場所を指します。3つ目がサーバー、つまりサイトの中身が実際に置かれている場所です。

多くの小さな会社では、この3つが1社にまとまっています。まとまっていること自体は悪くありません。問題になるのは、3つが別物だと気づいていない状態で、どれか1つを動かそうとしたときです。

登録(名義) DNSの管理 サーバー
止まると何が起きるか 失効するとサイトもメールも同時に使えなくなる 設定を誤るとサイトとメールが同時に止まる サイトが止まる。メールを同じ契約に載せていればメールも止まる
変えるときの作業 移管の手続き。承認と反映を待つ 記録を書き写して切り替える データを移して切り替える
変えるときにサイトは止まるか 原則として止まらない 書き間違えなければ止まらない 切り替えの前後で新旧の経路が混ざる
名義が問題になる場面 いちばん重い。他社名義だと自社の判断で動かせない 権限を持つ人が辞めたときに触れなくなる 支払いが止まったときに解約される
復旧できる範囲 失効すると第三者に取得される可能性がある 記録の控えがあれば書き戻せる バックアップがあれば作り直せる

いちばん左が最も重い理由は、失われたときに取り戻せる保証がないからです。サーバーの中身はバックアップから作り直せますが、ドメインは同じものを再取得できるとは限りません。

まとめる場合と分ける場合で、楽になる場所と固くなる場所が違います

3つを1社にまとめるか、登録だけ別にするか、DNSの管理だけ別に置くか。判断軸ごとに整理します。

判断軸 3つとも1社にまとめる 登録とサーバーを分ける DNSの管理だけ別に置く
日常の管理 画面が1つで済む。請求もまとまる 管理画面が2つになり、それぞれに権限が要る 画面は増えるが、切り替えの操作は1か所に集まる
更新の失念 起きにくい。同じ画面に期限が並ぶ 起きやすい。別々の期限を別々に管理する 登録側の期限管理は変わらない
サーバーを乗り換えるとき サーバーの解約とDNSの移動を同時にやることになる サーバーだけを移せる。ドメインはそのまま 最も動かしやすい。向き先を書き換えるだけで済む
メールを別のサービスに分けるとき 同じ画面で設定できるが、サーバー解約時に巻き込まれる 影響を受けにくい 影響を受けない
サーバーの障害が起きたとき 管理画面ごと開けないと、向き先の変更もできない 登録側は生きているが、DNSがサーバー側なら同じ 障害中でも向き先を変えられる
社内に管理できる人がいないとき 向いている。窓口が1つで済む 2社分の問い合わせ先を把握する必要がある 向かない。設定の意味が分かる人が要る

読み取り方は2つです。触れる人が社内にいないなら、まとめたほうが失念も混乱も減ります。乗り換えの可能性が読めない、あるいはメールを別に持つ予定があるなら、少なくとも登録だけは分けておくと後の選択肢が残ります。

5行目は見落とされやすい項目です。サーバー会社の管理画面でDNSも設定している場合、そのサーバー側の障害が長引くと、別の場所へ一時的に逃がすという手が使えません。停止が売上に直結する会社では、この一点だけでもDNSを分ける理由になります。

「ドメイン無料」の条件は、その契約を続けることです

サーバー契約に付いてくるドメインは、そのサーバーを使い続けることが条件になっている場合があります。条件の書き方は事業者ごとに違うため、申込画面の注記と規約で次を確認してください。

  • サーバーを解約した後、そのドメインはどう扱われるか。更新料が発生するのか、使えなくなるのか
  • 他社へ移管できるか。できる場合、条件や待機期間があるか
  • 無料の対象が初回だけか、契約を続ける間ずっとか

条件そのものは不当ではありません。困るのは、条件を知らないまま名刺と請求書にそのアドレスを載せてしまい、乗り換えの検討時に「ドメインを手放すか、サーバーを変えないか」の二択になることです。判断を縛るのは費用ではなく、この二択が発生する構造のほうです。

更新の失敗は、年に一度しか気づく機会がありません

ドメインは、更新できなければその日から使えなくなります。サイトが表示されなくなるだけでなく、そのドメインで受けていたメールも同時に止まります。取引先から届いたメールは、こちらに届かないまま返送されます。

失敗の仕方には型があります。

  • 支払いに使っていたカードの有効期限が切れていた
  • 更新の通知が退職者の個人アドレスに届いていた
  • 自動更新を切ったまま、切ったことを忘れていた
  • 移管の手続きが途中で止まり、どちらの事業者も更新しない期間ができた
  • 名義変更の申請中に更新期限が来た

どれも珍しい話ではありません。厄介なのは、確認する機会が年に一度しかないことです。日常業務のなかで異常に気づく仕組みがないため、失効して初めて分かります。

対策は3つです。登録の連絡先を、個人ではなく複数人が読める共有のアドレスにすること。そのアドレスに、そのドメイン自体を使わないこと(メールが止まると再設定の通知を受け取れません)。そして支払い方法を、退職や個人のカードの期限に左右されない形にすることです。名義と連絡先の決め方は独自ドメインのメールを導入する手順と決めることでも扱っています。

何を取るかは、後から変える費用のほうが大きくなります

取得の段階では、思いついた候補のどれでも構わないように見えます。判断材料になるのは、変えることになったときの手間です。

アドレスは名刺、封筒、請求書の雛形、取引先の宛先帳、各種サービスのログインIDとして残ります。1つ変えるだけで、告知と差し替えが数か月にわたって続きます。この前提で見ると、確認しておく点は絞れます。

電話や口頭で伝えられるか。 綴りを説明するのに時間がかかる、聞き間違えられる、ハイフンの位置を毎回説明する。この手間は毎日発生します。

事業の内容ではなく、続く名前で取れているか。 取扱商品や事業名で取ると、事業が変わったときに合わなくなります。社名や屋号を軸にするほうが長く使えます。

種類の違いを把握しているか。 日本の企業向けには、登記された法人であることを条件とする種類があり、取引先から見た信頼性の面で選ばれることがあります。登録できる条件は種類ごとに決まっているため、申し込む前に登録管理団体の情報を確認してください。

複数取るかどうか。 打ち間違いや別表記に備えて複数取得し、正のドメインへ転送する使い方はあります。ただし、正をどれにするかを決めずに運用すると、メールの受け口も検索での評価も分散します。正を1つ決め、残りは転送だけに使ってください。

なお、他社の商標と重なるかどうかの判断は法務の領域です。事業名をそのままドメインにする場合は、確認が必要になることだけ押さえておいてください。

乗り換えの自由度は、3つのうちどれを自社に置くかで決まります

最後に、実務でいちばん効く順番の話です。

ドメインを自社名義で持っていれば、サーバーもメールも作り直せます。取引先に知らせているアドレスが変わらないためです。逆に、名義が他社にあると、中身をすべて持っていても同じアドレスでは再開できません。名義を自社に置く話は小さな会社のホームページは何で作るべきかでも扱っています。

DNSの管理を自社側に置いていれば、切り替えの主導権も自社にあります。ここがサーバー会社側にある場合、注意が必要なのは解約の順番です。サーバーを先に解約すると、DNSの設定ごと消えることがあります。設定が消えれば、サイトだけでなくメールの行き先も分からなくなります。

順番は、移す先のサーバーを用意する、DNSの管理を移すか、新しい向き先を書けることを確認する、切り替えて動作を確認する、旧サーバーを解約する、です。解約は必ず最後です。この順番を守れば、途中で問題が出ても元の設定に戻せます。移転の判断そのものはサーバー移転はいつ決めるかで扱っています。

次にやること

契約先を決める前に、いま使っているドメインについて次の3行を書いてください。

登録している事業者はどこか。DNSをどこで設定しているか。サーバーはどこか。3行が全部同じ会社名になるなら、まとめている状態です。書けない行があるなら、そこが現在の弱点です。

分からない場合は、まず会計データで毎年引き落とされている少額の支払いを探します。それでも出てこない場合、ドメインの登録情報は公開された照会の仕組みで確認できるため、登録者と管理の連絡先だけは調べられます。

3行が埋まったら、登録の名義と連絡先を確認します。ここが自社と共有アドレスになっていれば、契約先をどこにするかは急ぎの判断ではありません。サーバーの型から検討する段階なら、法人向けレンタルサーバーの選び方に要件の決め方があります。

よくある詰まりどころ

前任者が個人のアカウントでドメインを取っていた

その人の連絡先に更新の通知が届き続けている状態です。退職済みなら、まず事業者に名義変更の手続きを確認します。本人と連絡が取れるうちに動くほうが手順は簡単です。更新期限が近い場合は、名義変更より先に更新を済ませてください。失効すると手続きそのものができなくなります。

移管しようとしたら期間の制限があると言われた

取得の直後や、移管した直後は、一定期間ほかへ移せない決まりがあります。制限が明けるまで待つほかありませんが、その間に名義や連絡先の確認は進められます。乗り換えの日程を組む場合は、この待機期間を計算に入れてください。

サーバーとまとめているが、分けたほうがよいのか

いま困っていないなら、急いで分ける必要はありません。分けるかどうかを検討する場面は3つです。サーバーを乗り換えるとき、メールを別のサービスに移すとき、そしてサイトの停止が売上に直結するようになったときです。この3つに当たっていないなら、名義と連絡先の確認だけで足ります。

複数のドメインを持っていて、どれが本体か分からない

サイトが実際に表示されているもの、そしてメールを受けているものを本体とします。残りは転送に回し、新しい印刷物やサービスの登録には使いません。使い分けを続けると、取引先から見てどちらが正しいのか判断できなくなります。