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ドメインとサーバーの契約は分けるべきか
ドメインまわりには登録・DNSの管理・サーバーという3つの契約があり、1社にまとめるかどうかで乗り換えの自由度が変わります。まとめる場合と分ける場合の違い、更新が失敗する型、解約の順番までを整理しました。
この記事の適用範囲
- 対象
- 独自ドメインをこれから取得する、または既存のドメインとサーバーの契約を見直したい小規模事業者
- 読了後の状態
- ドメインの登録・DNS・サーバーの関係を理解し、契約先と名義を自社の判断で決められる状態
サーバーの申し込み画面を進めていくと、「ドメインも一緒に取得する」という選択肢が出てきます。契約している間は費用がかからないと書かれていて、別のところで取る理由も特に思いつきません。ここで進むかどうかが、数年後に選べる範囲を決めます。
問題が表に出るのは、サーバーを移そうとしたとき、メールだけ別のサービスに分けたくなったとき、そして更新の通知が誰にも届かないまま期限が過ぎたときです。どれも契約から数年たってから起きるため、取得の日には判断材料が揃っていません。
ここでは、ドメインまわりの契約が実際には3つに分かれていることを整理し、まとめる場合と分ける場合で何が変わるかを扱います。取得の手続きそのものは各事業者の画面に従えば済むため、決めることのほうに絞ります。
ドメインまわりには3つの契約があり、まとめられているだけで別物です
ひとまとめに「ドメインを取る」と言われますが、実際には性質の違う3つが関わっています。
1つ目は登録です。そのドメインを誰の名義で保有するかという契約で、更新料を払い続ける限り使えます。2つ目はDNSの管理です。そのドメイン宛の通信をどこへ向けるか(サイトはどのサーバーへ、メールはどこへ、認証用の記録はどう書くか)を設定する場所を指します。3つ目がサーバー、つまりサイトの中身が実際に置かれている場所です。
多くの小さな会社では、この3つが1社にまとまっています。まとまっていること自体は悪くありません。問題になるのは、3つが別物だと気づいていない状態で、どれか1つを動かそうとしたときです。
| 登録(名義) | DNSの管理 | サーバー | |
|---|---|---|---|
| 止まると何が起きるか | 失効するとサイトもメールも同時に使えなくなる | 設定を誤るとサイトとメールが同時に止まる | サイトが止まる。メールを同じ契約に載せていればメールも止まる |
| 変えるときの作業 | 移管の手続き。承認と反映を待つ | 記録を書き写して切り替える | データを移して切り替える |
| 変えるときにサイトは止まるか | 原則として止まらない | 書き間違えなければ止まらない | 切り替えの前後で新旧の経路が混ざる |
| 名義が問題になる場面 | いちばん重い。他社名義だと自社の判断で動かせない | 権限を持つ人が辞めたときに触れなくなる | 支払いが止まったときに解約される |
| 復旧できる範囲 | 失効すると第三者に取得される可能性がある | 記録の控えがあれば書き戻せる | バックアップがあれば作り直せる |
いちばん左が最も重い理由は、失われたときに取り戻せる保証がないからです。サーバーの中身はバックアップから作り直せますが、ドメインは同じものを再取得できるとは限りません。
まとめる場合と分ける場合で、楽になる場所と固くなる場所が違います
3つを1社にまとめるか、登録だけ別にするか、DNSの管理だけ別に置くか。判断軸ごとに整理します。
| 判断軸 | 3つとも1社にまとめる | 登録とサーバーを分ける | DNSの管理だけ別に置く |
|---|---|---|---|
| 日常の管理 | 画面が1つで済む。請求もまとまる | 管理画面が2つになり、それぞれに権限が要る | 画面は増えるが、切り替えの操作は1か所に集まる |
| 更新の失念 | 起きにくい。同じ画面に期限が並ぶ | 起きやすい。別々の期限を別々に管理する | 登録側の期限管理は変わらない |
| サーバーを乗り換えるとき | サーバーの解約とDNSの移動を同時にやることになる | サーバーだけを移せる。ドメインはそのまま | 最も動かしやすい。向き先を書き換えるだけで済む |
| メールを別のサービスに分けるとき | 同じ画面で設定できるが、サーバー解約時に巻き込まれる | 影響を受けにくい | 影響を受けない |
| サーバーの障害が起きたとき | 管理画面ごと開けないと、向き先の変更もできない | 登録側は生きているが、DNSがサーバー側なら同じ | 障害中でも向き先を変えられる |
| 社内に管理できる人がいないとき | 向いている。窓口が1つで済む | 2社分の問い合わせ先を把握する必要がある | 向かない。設定の意味が分かる人が要る |
読み取り方は2つです。触れる人が社内にいないなら、まとめたほうが失念も混乱も減ります。乗り換えの可能性が読めない、あるいはメールを別に持つ予定があるなら、少なくとも登録だけは分けておくと後の選択肢が残ります。
5行目は見落とされやすい項目です。サーバー会社の管理画面でDNSも設定している場合、そのサーバー側の障害が長引くと、別の場所へ一時的に逃がすという手が使えません。停止が売上に直結する会社では、この一点だけでもDNSを分ける理由になります。
「ドメイン無料」の条件は、その契約を続けることです
サーバー契約に付いてくるドメインは、そのサーバーを使い続けることが条件になっている場合があります。条件の書き方は事業者ごとに違うため、申込画面の注記と規約で次を確認してください。
- サーバーを解約した後、そのドメインはどう扱われるか。更新料が発生するのか、使えなくなるのか
- 他社へ移管できるか。できる場合、条件や待機期間があるか
- 無料の対象が初回だけか、契約を続ける間ずっとか
条件そのものは不当ではありません。困るのは、条件を知らないまま名刺と請求書にそのアドレスを載せてしまい、乗り換えの検討時に「ドメインを手放すか、サーバーを変えないか」の二択になることです。判断を縛るのは費用ではなく、この二択が発生する構造のほうです。
更新の失敗は、年に一度しか気づく機会がありません
ドメインは、更新できなければその日から使えなくなります。サイトが表示されなくなるだけでなく、そのドメインで受けていたメールも同時に止まります。取引先から届いたメールは、こちらに届かないまま返送されます。
失敗の仕方には型があります。
- 支払いに使っていたカードの有効期限が切れていた
- 更新の通知が退職者の個人アドレスに届いていた
- 自動更新を切ったまま、切ったことを忘れていた
- 移管の手続きが途中で止まり、どちらの事業者も更新しない期間ができた
- 名義変更の申請中に更新期限が来た
どれも珍しい話ではありません。厄介なのは、確認する機会が年に一度しかないことです。日常業務のなかで異常に気づく仕組みがないため、失効して初めて分かります。
対策は3つです。登録の連絡先を、個人ではなく複数人が読める共有のアドレスにすること。そのアドレスに、そのドメイン自体を使わないこと(メールが止まると再設定の通知を受け取れません)。そして支払い方法を、退職や個人のカードの期限に左右されない形にすることです。名義と連絡先の決め方は独自ドメインのメールを導入する手順と決めることでも扱っています。
何を取るかは、後から変える費用のほうが大きくなります
取得の段階では、思いついた候補のどれでも構わないように見えます。判断材料になるのは、変えることになったときの手間です。
アドレスは名刺、封筒、請求書の雛形、取引先の宛先帳、各種サービスのログインIDとして残ります。1つ変えるだけで、告知と差し替えが数か月にわたって続きます。この前提で見ると、確認しておく点は絞れます。
電話や口頭で伝えられるか。 綴りを説明するのに時間がかかる、聞き間違えられる、ハイフンの位置を毎回説明する。この手間は毎日発生します。
事業の内容ではなく、続く名前で取れているか。 取扱商品や事業名で取ると、事業が変わったときに合わなくなります。社名や屋号を軸にするほうが長く使えます。
種類の違いを把握しているか。 日本の企業向けには、登記された法人であることを条件とする種類があり、取引先から見た信頼性の面で選ばれることがあります。登録できる条件は種類ごとに決まっているため、申し込む前に登録管理団体の情報を確認してください。
複数取るかどうか。 打ち間違いや別表記に備えて複数取得し、正のドメインへ転送する使い方はあります。ただし、正をどれにするかを決めずに運用すると、メールの受け口も検索での評価も分散します。正を1つ決め、残りは転送だけに使ってください。
なお、他社の商標と重なるかどうかの判断は法務の領域です。事業名をそのままドメインにする場合は、確認が必要になることだけ押さえておいてください。
乗り換えの自由度は、3つのうちどれを自社に置くかで決まります
最後に、実務でいちばん効く順番の話です。
ドメインを自社名義で持っていれば、サーバーもメールも作り直せます。取引先に知らせているアドレスが変わらないためです。逆に、名義が他社にあると、中身をすべて持っていても同じアドレスでは再開できません。名義を自社に置く話は小さな会社のホームページは何で作るべきかでも扱っています。
DNSの管理を自社側に置いていれば、切り替えの主導権も自社にあります。ここがサーバー会社側にある場合、注意が必要なのは解約の順番です。サーバーを先に解約すると、DNSの設定ごと消えることがあります。設定が消えれば、サイトだけでなくメールの行き先も分からなくなります。
順番は、移す先のサーバーを用意する、DNSの管理を移すか、新しい向き先を書けることを確認する、切り替えて動作を確認する、旧サーバーを解約する、です。解約は必ず最後です。この順番を守れば、途中で問題が出ても元の設定に戻せます。移転の判断そのものはサーバー移転はいつ決めるかで扱っています。
次にやること
契約先を決める前に、いま使っているドメインについて次の3行を書いてください。
登録している事業者はどこか。DNSをどこで設定しているか。サーバーはどこか。3行が全部同じ会社名になるなら、まとめている状態です。書けない行があるなら、そこが現在の弱点です。
分からない場合は、まず会計データで毎年引き落とされている少額の支払いを探します。それでも出てこない場合、ドメインの登録情報は公開された照会の仕組みで確認できるため、登録者と管理の連絡先だけは調べられます。
3行が埋まったら、登録の名義と連絡先を確認します。ここが自社と共有アドレスになっていれば、契約先をどこにするかは急ぎの判断ではありません。サーバーの型から検討する段階なら、法人向けレンタルサーバーの選び方に要件の決め方があります。
よくある詰まりどころ
前任者が個人のアカウントでドメインを取っていた
その人の連絡先に更新の通知が届き続けている状態です。退職済みなら、まず事業者に名義変更の手続きを確認します。本人と連絡が取れるうちに動くほうが手順は簡単です。更新期限が近い場合は、名義変更より先に更新を済ませてください。失効すると手続きそのものができなくなります。
移管しようとしたら期間の制限があると言われた
取得の直後や、移管した直後は、一定期間ほかへ移せない決まりがあります。制限が明けるまで待つほかありませんが、その間に名義や連絡先の確認は進められます。乗り換えの日程を組む場合は、この待機期間を計算に入れてください。
サーバーとまとめているが、分けたほうがよいのか
いま困っていないなら、急いで分ける必要はありません。分けるかどうかを検討する場面は3つです。サーバーを乗り換えるとき、メールを別のサービスに移すとき、そしてサイトの停止が売上に直結するようになったときです。この3つに当たっていないなら、名義と連絡先の確認だけで足ります。
複数のドメインを持っていて、どれが本体か分からない
サイトが実際に表示されているもの、そしてメールを受けているものを本体とします。残りは転送に回し、新しい印刷物やサービスの登録には使いません。使い分けを続けると、取引先から見てどちらが正しいのか判断できなくなります。